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車酔い対策

車酔い(動揺病)対策について

車に乗り慣らされていないイヌたちは、往々にして車酔いし、それがしばしばイヌとの旅の大きな障害になります。旅で得られる非日常の刺激はイヌたちにとってもいろいろな面で絶好の機会であるにもかかわらず、車に酔うから旅に出られない、というのは非常に残念なことだと思います。

時間を掛けて少しずつ移動距離を伸ばし、繰り返し慣れさせていければ、おおかたの犬は車酔いしなくなります。また、酔い止め薬で車酔いを軽減できることもあるでしょう。しかし、慣らすのは時間のかかる話ですし、酔い止め薬は神経機能に作用する「薬剤」ですので健康を損なうリスクも考えなければなりません。

ということで、ここでは「車酔いするイヌと旅に出るにあたりすぐに飼い主にできること」について考察していきます。

車のみならず、船や電車、飛行機などに乗って酔う症状を「動揺病」と言います。世界中でさまざまな研究が行われていますが、その原因について明確な結論は示されていません。原因がわかりませんので、発症のメカニズムも対策も明らかになっていません。

車が走っていなくても、においや記憶により乗っただけで酔うケースもあるようですが、私たちは、多くの場合、自分のカラダの動きと脳の処理の不調和(混乱)、特に車の動きに対して自らの視覚や前庭覚などによる感覚情報の処理がうまく合致しないことが、動揺病の原因となっていると考えており、カラダの動き、つまり車の揺れが小さい方が酔いにくい、という仮説の下で対策を検討しています。

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揺れの軽減

車の動き

多くの車の場合、後部座席の足元で左右真ん中になるあたりに乗せると酔いにくいとされていますが、どうなのでしょう?

まずは車の動きについて説明致します。

車は走っている時に、三次元でさまざまな方向に揺れます。車を前から見た時に左右交互に上下に揺れる動きを「ローリング」、横から見た時に前後交互に上下に揺れる動きを「ピッチング」、上から見た時に左右に揺れる「ヨーイング」といいます。これらの動きは三次元の軸が回転軸となって現れる回転に伴う動きです。その他、車体が上下に動く「バウンシング」という直線方向の動きもあります。

トランポリン運動など単純に上下に動く「バウンシング」は動揺病への影響はないとされています。しかし、走っている車の場合、前方向に進みながらあるいは左右に微妙に揺れながらの上下の動きになりますので、ただの上下運動と同列に語れるものではありません。サルーンと呼ばれる乗用車や大型バスのフワフワした動きは、外洋の高い波に揺られる船と同じような感覚をもたらすものであり、車酔いの大きな原因になっているのではないか、と考えています。

走っている車の複雑な揺れは、これら4つの揺れが複合的に発生し、しかもその方向が頻繁に変化します。地面の複雑な起伏を捉える4つのタイヤの位置、あるいはそのタイヤと車体をつなぐサスペンションの挙動、さらにはフレーム構造や車体の強度なども車によって異なりますので、当然ながら揺れの質そのものも大きく変わります。サスペンションが車体に取り付けられている場所はタイヤの真上ではありませんし、ディファレンシャル(差動装置)と呼ばれるシステムは必ずしも4輪の対角線の交点が回転運動の中心となるようにコントロールするわけでもありませんので、助手席や後部荷室に乗せていた犬を後部座席の足元に乗せるようになったからといって落ち着くのかどうかは明確ではありません。

揺れを軽減する、というとビルの免振装置などが頭に浮かぶ方も多いでしょう。だから厚手のクッションが揺れを吸収してくれると考えるかもしれません。しかし、イヌのカラダの下にウレタン製などの高反発マットレスを敷くと、これまで車酔いしなかったイヌが酔うようになったという報告もあります。車の動きに慣れたイヌたちにとっては高反発マットレスは逆効果なのかもしれません。私たちはバスタオル一枚あるいは薄手のマットなど低反発の敷物を利用していますが、それは車酔いしないイヌたちの話であって、車酔いするイヌたちにどちらが有効なのか、それはまったくわかりません。

私たちは、捉えどころのない動きが、視覚と前庭覚、固有覚といった平衡感覚を構成する諸感覚の統合を混乱させ、それが「酔い」につながっているのだと考えています。脳が外部の情報を処理する過程で混乱が生じていると考えているのです。ヒトの場合は車の動きを視覚的に捉えやすい助手席(の外が見える高さ)での乗車が勧められることもありますが、これも視覚情報の混乱を小さくできることが要因なのだろうと思います。

つまり、感覚情報と揺れのミスマッチが起こらなければ車酔いの大きな原因となっているわけで、イヌが感じる揺れを少なくすることが急場の一番大切な対策である、と考えているのです。

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私たちの結論

車酔いするイヌと車で遠出をする時の急場の対策、それは、@獣医と相談の上で酔い止め薬の処方を検討すること、Aなるべくイヌの揺れが少なそうな場所に乗せること、Bなるべく車を揺らさないこと、この3点です。車をなるべく揺らさないよう運転するには技術も必要ですが、何よりも同乗者やイヌのことを第一に考える愛情運転に徹することが大切です。他の車と張り合ったり、ちょっとしたことでイラついたりせずに、穏やかな運転を心がけましょう……せめて旅行中だけでも。

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